短編小説 シリーズ短編 別れに意味があるの?

別れに意味があるの?

〜 別れを決意した朝 〜

66 行 2026/06/21 09:23
 一時のお別れ、そんな慰めの言葉はいらない。  警察が僕に投げかけた言葉だ。一時の別れ?意味がわからない。どうやら、目の前のチャラチャラした若い警察官は、僕が死んだら天国で両親と妹に会えるから善行を積んだ方がよいと言っているようだ。  誰も僕が欲しい言葉を投げかけてくれない。表面だけをなぞっただけの慰めに何の価値があるの?  僕にはわからない。  違法薬物が欲しい?ただそれだけのために、僕の両親と妹は殺されたの?  妹は凌辱されて動画を晒された。三度殺されたようなものだ。  両親と妹の葬儀を行った。  幸いな事に両親の保険はすぐに振り込まれた。その両親が残してくれた些細なプレゼントにも、ハイエナのような蛆虫が寄ってくる。潰すのも面倒なので無視することにした。  両親と妹の葬儀を行った翌日に、両親と妹から僕宛てに持つを持った人たちが訪ねてきた。  枯れ果てたと思っていた涙がまだ残っていたようだ。  両親と妹からの誕生日プレゼントが届いた。  妹が選んで両親が購入した。そして、今日届くように手配していた。それだけでも、涙が出てしまう。  それだけではない。訪ねてきてくれた人たちは、一枚のDVDを取り出した。  持ってきてくれた事情は説明してくれた。  対応した販売員が妹を覚えていた。夕方のニュースで妹の顔が出て、発送を止めた。指定された日に、荷物を持って訪ねてきたようだ。  葬儀が終わったばかりで慌ただしいだろうと、それだけ言って帰っていた。  両親と妹に線香をあげてくれた。それ以上の何も求めなかった。  販売員と上司の人が帰った後で、渡されたDVDを見た。  そこには、僕の誕生日プレゼントを選ぶ妹と両親が映っていた。画質はお世辞にも良いとは言えない。監視カメラの映像だろうか?  画面が切り替わって、妹の笑顔のアップから動画だ再開された。販売員が付けているカメラ映像だとコメントが書かれている。どうやら、カスタマーハラスメント対策で録画対応をしているようだ。  この笑顔を優しさをすべてを踏みにじった奴がいる。  そんな奴が生きている事が苦しい。そんな奴を擁護した奴がいる。  なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?  妹が何をした?  なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?  両親が何をした?  なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?  僕が悪いのか?  なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?  もう会えないのに一時の別れ?  動画の最後は、妹が両親に「お兄ちゃん喜んでくれるかな?」だった。  殺す。殺す。殺す。  一時の別れだというのなら、永遠と思える闇を払ってくれるのだろう?  誰が払ってくれる?  僕が僕のために、僕に別れを告げる。  一時の別れが永遠の別れになっても構わない。地獄の業火に焼かれるのなら、本望だ。  さあ、彼らに別れをプレゼントしよう  大丈夫、自分で言ったのだから、愛おしい人たちは”一時の別れ”だと・・・。 ---

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