第三話 スキル!?

310 行 2026/06/20 23:52
 茂手木が手を上げた。 『何?質問?』 「うん。スキルに関してだけど」 『うん。スキルがどうしたの?』 「何が付くのはわからないだろうけど、スキルの説明はしてくれるの?」 『あぁ残念だけどそれは出来ない。成人の儀式の時に、神官から告げられるとおもう』 「そうなんだぁあとそれでね」 『うん。何?』 「それじゃ先人の儀式の前にスキルを隠蔽するとかは出来ないの?」 『する必要はないとおもうけど?』 「ううん。今からスキルが判明するでしょ?」 『そうだね』 「スキルは現地でも珍しくは無いけど、ユニークスキルやエクストラスキルが付いたら、現地では珍しいってレベルじゃないよね?」 『そうなるかもね』 「だよね。だから、最初から隠せるのなら、隠しておきたい。珍しいスキルが付いたら、現地の国や貴族やここに居る連中に、自分が解ってしまうでしょ?」 『あぁそういう事ね』 「うん。出来るの?」 『結論を言えば出来るよ。隠蔽のスキルを使えば出来るよ。ここで、スキルを隠蔽してから転生すれば、そのままスキルシートに反映するからね』 「そうか。了解。ありがとう。」 『他に質問がなければ、早速始めたいと思うけどいいかな?』 「おう。さっさと初めて戻ってきて生き返るぞ」  立花は率先して動こうとはせず声だけ出している。 『いいから、さっさとこっちに来てジョブを決めようよ。話が進まないよ』 「質問いい?」 『まだ何かあるの?』 「質問というよりも、確認かな」 『いいよ。何?』  端っこに一人だけ座っていた女子だ。”和葉”と、呼ばれているのを覚えているが、どんな子なのか記憶にない。”目立たない女子”という印象しかない。確か転校生だったと思う。僕と同じで一人でいる事が多かった印象がある。よく図書館に居るのを見かけた。僕と好きな本はかぶらないようだけど、”読書家”の印象が強い。 「異世界で過ごした記憶は、地球に戻ってもあるの?あと、異世界から戻ってきた時に、異世界での私はいなくなってしまうの?それと、もし私が一番貢献した人物に選ばれた時に、生き残るのではなく異世界に戻る事を選択した場合はどうなるの?」 『なかなか面白い事を聞くね。最初の質問は、記憶の操作はできるよ、地球に戻すときに、勝者の意思決定に従うようにしようとは思う。記憶が残っても、7日間生死の境に居た人間が、見た夢だと思われてしまうだろうね。次は、異世界の君たちは、消える事は無いよ。最後の質問だけど、地球では死んだことになって異世界で継続的に生きる事を選択する事もできる。その場合は、君以外にあと2人誰かを選んでもらう事になるけどね』 「そうか、そういう事に”して”しまうのだね。それじゃ確認だけど、異世界に残る場合の、寿命はどうなるの?」 「寿命かぁ正直僕にはわからないよ。現地のヒューマンは平均的に50~60歳程度だよ。でもそれはあくまで一般的なヒューマンだよ。レベルが上がっているヒューマンは、”より老い難く死ににくい状態”に進化する事もありえるよ」 「そうか・・・・。異世界なら不老長寿も夢じゃないのだね。それともう一つ確認」 『何?』 「異世界からアドラに対して質問が出来たりはしないの?アドラから異世界に干渉を行ったり出来ないのだよね?」 『言っている意味がわからないよ?』 「異世界にいる時にルールの事とか現状を聞くために、アドラに対して連絡したり出来ないし、アドラから異世界の私に何らかの干渉を行う事は出来ないのだよね?」 『君達から僕への問いかけは、異世界に僕を崇める宗教があるのだけど、そこからなら僕に呼びかける事も出来るとは思うけど、返事するかは確約できないよ。異世界への干渉は、君達がこの白い部屋から出てしまったら出来ないよ』 「わかった。私はもう大丈夫だから、私からジョブとやらを決めるよ」  そう言って、和葉は立ち上がって、アドルの元に行って、球体に手を置いた。手が球体に触れた状態で10秒ほど和葉の身体が青い光に包まれた。 『OK。もう大丈夫だよ。ステータスって頭の中で唱えると、君のジョブや現在のステータスが見られるよ。あと、人に触れながらステータスビューと唱えると、その人のステータスを確認できるよ。もちろん、偽装されていたら、偽装されているステータスになってしまうけどね』 「ほぉ便利だね。へぇこれが私なのだね」  和葉がジョブを入手した事で、アドラの下に駆け寄ってジョブを入手している。ひとみが近寄ってきた 「凛君」 「いいよ。もう僕に構わないで、今までありがとう。これからは、もう気にしなくていいからね」  それだけ言ってひとみから視線を外して立ち上がった。 「凛君聞いて。ねぇ」  何を今更言うつもりなのだろうか、ひとみがどう思って居たのかもわかった。さっさと、ジョブとやらを手に入れて、異世界に行こう。ひとみも友達に付き添われて、アドラの所に行って球体に触れている。ひとみは赤色の光に包まれている。もしかしたら、ジョブに関わりがあるのかもしれない。青と赤が圧倒的に多い。一人黄色の光に包まれた。光の濃淡もある要素だった、重久の光が青だとしたら、和葉は青ではなく紫に近かったのだろう。最後に並んだ僕の番になった。 『君で最後だね』  アドラはそう言って僕を舐めるように見てから 『君はなかなかおもしろいね。さぁ触って』  アドラが持つ球体に手を置いた。僕の身体は、透明の光に覆われた。  太陽の光というよりも、蛍光灯を直視した時のような光で色がついていないのがすぐにわかった 『あぁやっぱり・・・ね。苦労すると思うけど頑張ってね』  アドラが言った言葉は気になったが、なんにせよこれで異世界に行ける。暫くは、立花たちとかかわらないですむ。  ひとみとも顔を合わせなくてもすむ。静かに暮らしていけばいいだろう。  せっかくの機会だし何が出来るのか考えてみる。  まずは自分のステータスの確認をしないと始まらないな。 真命:神埼凛(1) ジョブ:動物使い 体力:80 魔力:80 腕力:70 敏捷性:50 魅力:190(+250) 魔法:外(2) スキル:隠蔽(1)、言語理解、念話(1) ユニークスキル:動物との会話(1) エクストラスキル:万物鑑定(1)  数字が並んでいる。ステータスに関しては、ゲームと同じだと理解出来た。  ただ、魔法が外となっているのがよくわからない。  ジョブの動物使いに関しては説明がない。どんなジョブなのかわからない。  それから、アドラが言っていたスキルの他に、ユニークスキルとエクストラスキルが存在していた。動物との会話はなんとなくジョブに関連する物だと言うのは解るが、ユニークスキルは珍しいと言っていたから隠蔽を行っておく。エクストラスキルにある”万物鑑定”はヤバそうだ。  現地で見られないようにする事や、同級生たちにバレないようにする。隠蔽を発動して、ユニークスキルの”動物との会話”と”万物鑑定”を隠蔽指定した。隠蔽を行ったら、2つのスキルの横に(隠蔽)と言う文字が付いた。各々ひとつずつしかなかったユニークスキルとエクストラスキルの表示も濃い黒から半透明の表示に変わった。  説明が無いか、ステータスシートを眺めていた時に、立花の取り巻きの一人の、山崎が近づいてきて、肩に手を置いた。 「ギャハハハ。立花。立花。"うすのろ"は、やっぱり"うすのろ"だぞ」  そうかステータスを確認したのだな。  慌てて、山崎の手を払ったが遅かった。 「腕力も敏捷性も、俺の1/5もないし、ジョブが動物使いだって、”ネズミ”や”ねこ”と、仲良くなれるジョブなのか?」 「動物園の飼育係にでもなるのか?」「おい西沢。お前の同類じゃないのか?」「ふざけるな!?俺はテイマーだぞ。使役するためのスキルもあるからな。そんなダメジョブと一緒にするなよ」「そうだよな。わりぃわりぃ」 「"うすのろ"は、そんなもんだろう?体力も、俺の1/3以下だし、魔力も他の奴らの半分位しかない。使えないな」  立花も笑いながら馬鹿にしてくる。 「おい、アドラとやら、現地の平均値よりも高くなるのだろう?"うすのろ"でも平均以上だとしたら、俺一人で全員殺せてしまうぞ」 『ほぉそんな事になっているの?』  そう言って、アドラは僕に近寄ってきた。 『彼は現地の人と変わらないみたいだね』 「はぁ?」  思わず声を出してしまった。 『あぁそうか。そうか。大丈夫だとおもうよ。頑張ってよね』 「"うすのろ"頑張れよ。成人の時に会ったら一番に殺してやるからな。安心して、残りをこの部屋で寂しく過ごせよ」  立花たちは、馬鹿にし始めてた。そして、それに飽きると、自分がどんなにスキルを持っているのかや、ステータスが高いのか、どんな魔法が使えるのかとか、自慢気に話し始めた。僕は、そんな話をしっかりと聞き耳を立てていた。どうやら、立花の取り巻きには、鑑定スキルを持つ奴は居ないようだ。全員が本当の事を言っているとは思えないが、鑑定が無いのなら、逃げる方法はありそうだ。 『みんな。ジョブは取得したね。魔法使いや剣士と言った一般的なジョブから、ちょっと変わったジョブまで出たようだね』  アドラは僕を意味深な視線を向けた。 『さて、生まれる場所も決まったよ。さて、長々話してきたけど、異世界ライフを楽しんできてね。どんな結末が待っているのか、外から楽しみながら見ているよ。ゲートを開くから、そこから異世界にわたってね。ゲートをくぐったら異世界での君達の時間が進むからね。暫くは、ここでの事は思い出せないと思うけど、思い出したら、僕の事も思い出してくれたら嬉しいな』  それだけいうと、アドラは手を大きく広げて、『ゲート』と唱えると、部屋の端に門のような物が浮かび上がってきた。  中に入るのを躊躇していると、紫色に光った女子の和葉が、僕の腕を取ってきた。  「神埼君。私の事を忘れないで、私は貴方に返さなければならない恩がある」  そう言って、僕の手を引っ張りながら門に飛び込んだ。  わけもわからないまま、僕は、”和葉”を鑑定した 真命:鵜木和葉(1) ジョブ:魔法剣士 体力:240 魔力:320 腕力:180 敏捷性:190 魅力:100 魔法:青(3)・赤(3)・黄(1)・灰(1)・黒(2) スキル:隠蔽、(隠蔽)魔法の吸収、(隠蔽)剣技の吸収 ユニークスキル:(隠蔽)鑑定 /**** 残された人々 Side 時期:?? 場所:白い部屋 ****/  ゲートに飛び込んだ二人の同級生を見ながら、残された19人はお互いを確認して牽制するようになっていた。  二人が、溶けるようになくなってしまったのを目の前で見て、恐怖心が芽生えたのかもしれない。 『君達は入らないの?』 「「「「.....」」」 『僕としてはこのままでもいいけど・・・ね。』 「「「「.....」」」 『このまま時間が進めば彼らは有利になる可能性があるよ。』 「「「「!!」」」 『少し考えれば解るでしょ。1,460倍で進むよ・・・・だから、1分過ぎるだけで1日少なくなるって事だと?このままグダグダして、360分も経てば1年近く彼らは先を生きる事になるよ。解っているの?』 「「「「!!」」」  アドラの言葉を聞いて、我先にゲートに突入するのだった。 /**** 凛 Side 時期:?? 場所:?? ****/  ゲートの中に入った凛にも変化が現れていた。  身体の浮遊感にも慣れた事で、自分のスキルを検証してみる事にしていた。  う~ん。どうにかならないかな。  ゲートに入る前に和葉のステータスを確認したけど、たしかにあれが同級生たちのステータスだとしたら、僕は簡単に殺されてしまうだろうな。  もう少しアドラに聞いてから来ても良かったな。  比較対象が和葉だけだから、違っているかもしれないけど、今確認出来る方法が無いからな。  それに、和葉もステータスを既に隠蔽していたみたいだよな。僕には見ることが出来たのは、鑑定の力だろう。もう少しスキルの説明がほしいな。  パッシプスキルなのかアクティブスキルなのかも知りたいな。 『......』 「だれ?」 『.....(にぃ)』 「!?」 『....やっと答えてくれた。凛君だよね?』 「そうだけど、誰?アドラじゃないよね?」 『うん。僕の事はマノーラと呼んで、君の事をよく知る神だと思って』 「ん?」 『どうしたの?』 「なんか懐かしい気分になったけど、気のせいですよね。僕に神の知り合いは居ないから」 『そうだね。それで本題に入っていいかな?時間もあまりなさそうだからね』 「あっはい。何でしょう?」 『僕は、進化を司る神の一柱なのだけどね。アドラとパーティアックのやろうとしている事に少しだけ干渉するのに成功して、少し力を付与出来たのだけど・・・ね。その説明をしようと思ってね』 「!?パーティアック?」 『あぁ君達は知らないよね。気にしなくていいよ。面倒な権力闘争だと思っていいよ』 「そうか・・・。それで僕につけた力って?」 『(納得してくれるのだね)え~とね。どう説明したらいいか、難しいな』 「もし可能であれば、僕の質問に答えてくれませんか?もちろん、解る範囲でかまいませんので」 『いいよ。そのほうが楽かもしれないね。』 「それではいくつか今感じている”力=スキル”に、関して教えてほしいのだけど・・・ 1)一緒に入った和葉のスキルには数字が付いていなかったけど、僕にはあります。あれは何なのですか? 2)スキルには、パッシブスキルとアクティブスキルがあるのですか? 3)スキルにレベルのようなものがあるとしたらレベルアップの方法は?  この3点で答えられるなら教えて欲しい」 『あぁそれ!それ!良かった説明が難しいなと思っていたのだよね』  マノーラの説明を要約すると 1)スキルには本来レベルがあるけど、本人が識別出来るようなものではない。厳密なベレルが存在する様になっていて、スキルが進化する事になる。 2)言語理解や動物との会話は、パッシブスキルで不都合なく使う事が出来るようになっているが、”隠蔽”や”念話”は、使おうとしないと使えないアクティブスキルになっている。 3)使えばレベルアップする。レベルは9まで存在している。条件を満たすことで限界突破出来るが、条件は自分で探して欲しい。  これだけでも十分な情報だった。  スキルのレベルアップは、通常ではできなくて、条件を満たした状態で、神殿にいく事で、開放される。開放されてから、初めてレベルアップが可能になるのだという事だ。僕は、今会話しているマノーラの力で最初から開放された状態になっていると説明された。  そして重要な事は、このレベルは異世界では認知されていなくて、通常のステータスオープンや鑑定では見る事が出来ない。  マノーラはそれだけ話をすると 『時間がなくなってきたよ。』 「念話の使い方は?」 『今やっているに、相手に意思を伝えようと思えば、相手次第だけど会話できるよ』 「....マノーラは、僕の事を知っているの?」 『....ゴメン。答えられない。』 「そうか、また会える?」 『多分ね』 「そうか....」 『他には何かある?』 「一緒にゲートをくぐった和葉はどうなったか解る?」 『ゴメン。君しか捕まえる事が出来なかったからわからないよ』 「....」 『もう時間だよ。またどこかで会えると嬉しいな』 「そうだね。またどこかで」 『うん。バイバイ』  マノーラは、頭の上で両手を添えるように小さく手を振った。 「バイバイ。か.....」  あのときにも同じように、別れたのが最後だったよな。  それにしても、スキルのレベルアップか、なんとなく数字があるからそんな気がしていたけど・・・。  実践的なスキルが無いから、レベルアップしてもあんまり役立ちそうにないよな。でもやらないよりはいいだろうな。  スキルの検証とかは、13年後にし始めるしか無いだろうな。  できれば、イージモードで開始できればいいけどな....。  難しそうだな。

このエピソードを読者にシェアする

ポストする