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シリーズ短編
KAC2020
白いフクロウ
そこは終末医療専門の病院だ。 誰も訪ねてくる事もなく、ただ死を待つだけの人たちが、最後の時を心安らか過ごす場所だ。冥界に旅立つその時まで、サポートを行う病院なのだ。 1人の女性...
二番目の愛情
俺には長男だけど二番目の子供だ。 当然の事だと思う。 俺は少しだけ複雑な子供だ。 俺の父はバツ1なのだ。 父の再婚相手が、俺の産みの母で、産みの母の最初の配偶者が本...
隣の料理人
その女性の住む部屋は、古いアパートだだ。 (はぁ今日も疲れた) 誰も待っていない部屋に女性が入っていく。手に持っているのは、近くにある弁当屋さんの袋だ。 部屋に入って...
紙とペンと復讐
そこは、寂しい港町。始発を待つ者は誰も居ない。 誰も居ないと解っていながら、1人の男性は毎日ホームに立つ。 ホームで始発電車が到着するのを待っている。 男が持つメモ...
君と決めたルール
何気ない日常の何気ない時間。 それが僕にとってかけがえのない物だったと知ったのは、何もかも・・・。”自分の身体”と”君への想い”と”君と決めたルール”だけが残された日だった。 ...
残された3分
私と彼の距離を表現するのに、一番適切な言葉は、紅茶が冷めない距離。 彼は隣の部屋に住んでいる。 それは偶然だった。 中学卒業までは、一緒の学校に通っていた。 高校に...
残された記憶
今日も憂鬱な一日が始まる。 最低な目覚めだ。 「太輔!太輔!朝だよ。早く起きて、ご飯を食べちゃいな!」 「解っている。起きるよ」 ほら、こうして、無理矢理起こされる。勉...
3年目の出来事
高校生の男子が1人で住むには、少しだけ不釣り合いなマンションだが、|大城《おおしろ》|和義《かずよし》は一人暮らしをしている。 よくある理由で、不幸が重なったからだけだ。 高校...
最高のおめでとう
「|弘樹《ひろき》!」 同級生で、幼馴染の|由紀乃《ゆきの》だ。 「なに?」 「卒業前に、みんなでボーリングに行くけどどうする?」 「みんな?」 「そう、|大志《たいし》...
僕の仕事=生きがい?
僕の名前は、”カタリィ・ノヴェル”。僕の名前は、それほど重要では無いので、忘れてくれても構わない。ここ3週間とちょっと、バーグさんに|お願い《命令》されて、大量の物語を読んでいる。物語を届...
4で割り切れて
空になったコップをテーブルの上に置いて旧友に愚痴を言う。 「ヨウコ!聞いてよ」 学生時代からの親友であるヨウコに話を聞いてもらう。 「はい。はい。今日はどうしたの?また...
私が作る最高のお祭り
「そっちに逃げたぞ!」 「大丈夫だ。アキが待っている」 「また、アキのところかよ?!」 「アキの奴、何人目だよ。俺が連れてきたメスもアキが壊していたぞ?」 「しょうが...
都会へのUターン
「オーナー。どうしましょうか?」 「お前は、何度言えばわかる。俺のことは”まさ”と呼べと言っているだろう!?」 「だって、オーナーはオーナーじゃないですか?」 「いいから、...
情報の虜囚
綺麗だな。 あちらこちらで僕が撒いた種が増えている。拡散され続けている。こんなに嬉しいものだったのだ。 街の中にも青い紫陽花が増えている。 街だけじゃなく国中を覆うよう...
プレゼン10分前
「どうする?」 「どうするも、提案書は出したのだろう?」 「提出した」 俺は、システム屋のプログラマをしている。 社長にはしっかりと説明して、俺の肩書はプログラマにな...
KAC2021
何も変わらない日常
「おい!出てこい!」 俺をイラつかせる声が聞こえる。無視を決め込んで、寝床に潜り込む。 「おい!」 俺は、”おい”ではない。俺の名前でないことはわかっている。 騒が...
走る理由
僕が、後一分でも早く走れれば・・・。 彼女が待っていてくれる場所まで、走り続ける。手がこぼれ落ちてしまった未来を手繰り寄せるために・・・。 『君が悪いわけじゃない』 ...
お前が呼んだのか?
吾輩は猫である。名乗っている名は、”クロ”という。目の前に居る男が、吾輩の毛並みを見て付けた名前だ。安直だが、偽名として考えれば丁度よい。吾輩の|真命《マナ》は知られてはダメだ。真命が知ら...
バーテンダーは夜を隠す
繁華街の外れにある寂れた雑居ビル。 その地下でひっそりと営業をしているバーがある。このバーは昼の1時から営業を開始して、夕方には店を閉めてしまう。 少しだけ変わったバーテンダー...
疑似生命体
「はやく!」 ”うるせぇ!これでも急いでいる!そもそも、こんな重いサイトを開くな!この脆弱!” 2145年。高度に発達したスマホは、意思を、感情を持っている。 始まりは、些...
私は、どこで間違えた?
「また・・・。ですか?」 『えぇ』 電話の相手は、私がデビューした時から担当してくれている|編集者《浅葱さん》だ。 偶然だと思っていた。しかし、今回で”4回”連続だ。4回連...
21年目の真実
”トゥルル トゥルル トゥルル トゥルル トゥルル トゥルル トゥルル” 今日も聞こえてくるのは、”彼”を呼び出すコール音だけが虚しく心に響く。21回目のコール。 彼と交わし...
今日も下僕に命令する
吾輩は猫である。名前は、”ライ”という。目の前で、我のトイレを掃除している下僕が付けた名前だ。 「ライ!トイレの掃除が終わったぞ!撫でさせろ!」 うるさい男だ。 我のトイ...
皆が一人。でも、独りではない。
「今日もいつもの店に行くか・・・」 俺は、残業を終えて・・・。違うな。残業の|よ《・》|う《・》|な《・》ものを終えて、始発の電車に飛び乗った。終電に乗り遅れるとかいう話をよく聞くが...
KAC2022
右前脚と左前脚
我が名は、”クロウ”。漆黒に身を包む、由緒正しき野良猫である。いや、野良猫で在った。 我を、自らの屋敷に招いたのは、今、我の目の前で眠る、大学生とかいう人間の雌だ。 だらし...
心が動かない
子供の時から感じていた。 友達が流行に乗るかのように、アニメやドラマやアイドルに嵌っていくのを、”何が楽しいのか”解らない。 好きなアイドルを聞かれても、知っている名前を答える...
KAC2023
町の小さな本屋
僕の借りた部屋の近くに本屋がある。老夫婦がやっている小さな本屋だ。 僕は、その本屋に行くのが好きだ。 帰りに立ち寄って、本を物色する。 既に、本の位置を覚えてしまってい...
小さな復讐者
今日も、人間の幼体は無事だ。奴らは、弱い。俺が守ってやらないと、心が疲弊してしまう。 身体に出来た傷は、俺と違って簡単には治らない。でも、身体の傷は自然と治る場合が多い。 子供...
ある本屋の日常
今日もあの子が来てくれた。 私と旦那で切り盛りする町の本屋。大型書店やネットに押されて売り上げが落ちている。旦那と話をして、本屋を続けることに決めた。商店街の中にある店で、お客さんは顔...
復讐するは我にあり
「どうだ?」 「大丈夫。先生たちは寝ている」 「そっちは?」 「ぬいぐるみを抱いて寝ていた」 俺たちは、同じ施設で生活をしている。親の顔は知らない。学校で、”親なし...
ある施設の日常?
同僚には、この筋肉が無駄に見えるようだ。 俺も、無駄だと思う。 養護施設の職員には必要がない。解っている。解っているが、トレーニングを辞めるという選択肢は、俺にはない。 ...
アンラッキーのナナ
今日も、学校で”いじめ”られたと、一人の女の子が泣いている。 女の子を気にしているのは、施設の職員や兄や姉だけではない。本屋の老夫婦も気にしている。少女が抱きしめているぬいぐるみも...
100のいいわけより1回の謝罪
本当に、人の親になってはいけない者たちが居る。 子供の万引きを、店側の責任にしようとした。 ナイフを持ち出したのも、おじいさんが子供の手を掴んだから刺した?それじゃおばあさんを...
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